第4章「何度言ったらわかるの」が自己肯定感を破壊するより
今回もこちらの本から
犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉
前回の内容はこちらから
ヒトミは極端に自信がなく、「自分が承認された感覚」を持つために援助交際に走ってしまいました。
ヒトミは常にだれかと比較され、暗に否定されてきました。「誰々と比べてお前は劣っている。だからダメだ」と言われ続けたようなものです。自己肯定感が低くなるのも当然です。
ヒトミというのは本に出てくる事例の仮名です。
子どもに頑張ってほしいという思いでずっと関わってきた保護者。
友だちの良い所を伝えて目標にしてほしいと「○○くんは△△している」と伝えていくことで子どもが否定をされていくと感じていく。
自分は出来ていないんだなと思い、自信を無くしていく。自己肯定感が下がる。
その結果、認めてほしいという気持ちから援助交際を行うことで、自分が求められていると感じるといった事例でした。
筆者は「何度言ったらわかるの」という言葉に注目していますが、その言葉が原因で自己肯定感が下がるというよりかは、子どもを認めない、良い所には触れず、悪いところのみ触れる。このような関わりを繰り返すことで自己肯定感が下がっていくのでしょう。
「何度言ったら分かるの」という言葉に「何度言っても出来ないお前はダメだ」というメッセージが詰まっていると書籍にはあります。
著者は、自己肯定感を蝕んだ要因の一つという位置づけでこの言葉を選んでいます。
言葉は使う人によって印象が変わるので、日頃の関りが大切になってくるのでしょう。
自己肯定感とは
自己肯定感とはありのままの自分を肯定できる感覚のことです。
今回のこの書籍でイメージしている自己肯定感はこちらの内容になります。
これは自己肯定感の中でも、共感的自己肯定感になります。
共感的自己肯定感はこちらから
放デイに来ている児童は自己肯定感が低い傾向にあると感じます。
普段の生活の中で周りと比べて出来ないと感じることが多く、その自分を認められないからです。
自己肯定感が低い児童は
- 勝負に負けるということに耐えられない
- 分からない、難しいということに挑戦できない
- 「死ね」など強い言葉を使って上に立とうとする
などの様子がみられます。
自分が認められている安心できる環境の中でこそ人は挑戦することが出来るものです。
自己肯定感を高めるには
「以心伝心。家族だから、言わなくても伝わっている」なんていうことはありません。
親は子供のことを愛し、認めています。しかしそのことは伝えないと分からないものです。
頑張っているなーと思っていることや凄いと思うことは素直に伝えないと人には伝わりません。素直に伝えていくことが大切でしょう。
- 頑張ったことや挑戦していることを「○○を工夫したんやね」などさりげなく伝える
- 一つ注意したら、他のことでも良いから誉める
- 人と話している時に子どものことで謙遜しても本当は凄いと思っていることを後で伝える
など自分の感じていることはしっかり伝えていくことが大切になります。
またほめ方もオーバーにすると気持ちが萎えます。
僕自身は、中学と高校の時にテスト勉強中に父から
「おっ!勉強しているな!」
と言われるのは本当に嫌でした。明らかに茶化しているように見えたからです。
そこからはテスト勉強は父母が寝る11時からするようにしていました。
自分がどのように言われたら嬉しいかそのことも考えていかないといけません。
子どもとの関わりは試行錯誤
子どもとの関わりに正解はありません。分からない中、親や支援者はもがきます。
自己肯定感を上げる関りは大切ですが、何でも認めてよいわけではありません。
自分や他者を傷つける行為は否定しないといけないし、他者に迷惑をかける行為があることも伝えていかないといけません。
しかし、子どもの人生や行為をコントロールしても良いわけではありません。
その中で、どういった関りをするのか。
悪戦苦闘の日々です。
今後も書籍から臨床や育児で大切なことを考えていきます。
それではまた。