子どもの我慢
保護者と話をする中で時々出てくる話題の一つに
「子どもが我慢を出来ない」
というものがあります。
もう少し話を絞ると
我慢が出来ないから、遊園地で並ぶのが大変。
様々な理由から多動な子や本能優位の衝動性が高い子は一つの場所にとどまること自体が大変です。
体の動きが分かりにくいから動かして確認する。
体の情報を確かめるために傾いたり、触ったりする。
そういった行為が必要な子どもの場合、じっとするための集中が必要です。
長くは持ちません。
また、見たものにすぐ反応するタイプの子であれば遊園地は誘惑の宝庫であり、あっちこっちに突撃していくことでしょう。
しかし、そういった理由がなくても小さい子どもは待つことが出来るのでしょうか?
マシュマロ実験
我慢やセルフコントロールに関連する実験に[マシュマロ実験]があります。
実験の内容は
机と椅子だけある部屋に子どもに座ってもらう。机の上にはマシュマロが置いてある。
子どもに「今から部屋を出ます。マシュマロは君にあげるけど、私が帰ってくる15分間我慢出来ていたらもう一つあげるよ。私が帰ってくるまでに食べていたらもう一つは無しだよ」と伝える。結果、最後まで我慢したのは全体の三分の一ほどだった。
というもの。
将来のより大きな成果の為に自分の衝動や欲求をコントロールし、目先の欲求を辛抱する力[セルフコントロール]を確認するテストです。
ちなみに食べなかった子たちの方が将来優秀とされる子が多かったとのこと。
(優秀の定義は分かりません。テストの点は良いようです。)
2個はいらない子はいなかったのかな?と思います。
詳細は、ウィキペディアをどうぞ
この実験で気になる点はマシュマロという報酬があることです。
何かがあれば待つ可能性が上がる
書籍[子どもの「10歳の壁」とは何か?]では、マシュマロ実験を行ったオクスフォード大学の研究者ミッシェル氏の〚満足の遅延〛についての研究に触れています。
3歳から5歳の子どもに欲求不満となる課題を与えて待つか、待たないかの選択を決定させてその後の行動を観察したところ
- 報酬が随伴する条件では、気晴らしがないと待ち時間が短いこと(1分)
- おもちゃで遊ぶ気晴らしよりも楽しいことを考える気晴らしの方が待ち時間が長いこと(おもちゃが9分、楽しいことを考えるが12分)
- 報酬がない条件ではおもちゃで遊んでも楽しい事を考えても短い時間しか待てないこと(おもちゃで2分、楽しいことを考えるで1分)
- 食べる報酬では味とか、においなどの具体的なイメージを思い浮かべないように、長いとか丸いといった抽象的なイメージを考える方が長く待てるということ
という結果が出ているようです。(*実験内容は書籍の紹介しかみていません)
この内容から
3歳から5歳の子供は基本的に待つことが難しいということが分かります。
じゃあ6歳になったら急に待てるのかというとそうでもないでしょう。
報酬がない条件、待っていても自分に得することが無い状況
例えば、親が知り合いを見つけて、親だけが話し込んでいる状況では、子供は待っていても何も得をすることはありません。
相手の大人に自分の仲良しな友達がいれば別でしょうが、基本待つことは難しいのです。
報酬がある条件、待つことで得することがある状況
例えば、待つことで遊園地のアトラクションで遊べるのなら子供にとって得することがあります。
その時には、おもちゃを用意していたり、他の楽しいことを考えたりすることで待てる時間が延びるということです。
書籍ではがまんしてもらいたい時には
- 楽しいことを思い出す
- 具体的ではなく抽象的なものに置き換えるとより効果的
- 「がまん、がまん」と声に出す
- 報酬を見ないように目をそらす
といった方法が紹介されています。
保育園であった行事の話をしたり、しりとりをしたり、「忍者ごっこだ!我慢我慢!忍忍」などを話しながら待てると良さそうですね。
最後に
17、18世紀ごろには子どもは小さな大人と考えられていました。大人が持っているものを子供は内在的に持っているということです。
しかし、時代が進むに連れて子供と大人は異なる存在、成長していく存在と認識されています。
大人と違って子どもは待てないということを前提に、待つ経験を積み上げていくことが大切です。
回転ずしで並ぶ時には「ここのすしネタは大きいんかな?とげとげの食べ物が出てきたらどうする?」などの妄想しながら待ち時間を過ごそうと思います。
その前に予約しといたほうが良いですね。
今後も日々の振り返りをまとめていきます。
それではまた。